- 14 :名無しさん 24/08/10 13:12 ID:Q_0NuoaIm3 (・∀・)イイ!! (0)
- >>2>>8>>10>>13
地形学的観点から見ると、日本国内において「土砂崩れ」と「水害(浸水など)」のいずれのリスクもゼロである場所は、ほぼ存在しないと言っても過言ではありません。以下に、その理由を詳細に説明します。
日本は地形的に非常に複雑で、起伏に富んでいる国です。約7割が山岳地帯であり、そのため平地は限られています。この地形は、日本列島の形成過程において地殻変動が頻繁に起こったことに由来します。プレートテクトニクスの観点から見ると、日本列島はユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートという複数のプレートが複雑にぶつかり合う場所に位置しており、そのため地震や火山活動が多発します。この地殻活動によって生じた山地や丘陵は、長い年月をかけて浸食や風化によって削られ、その土砂が河川に運ばれ平野を形成します。
### 土砂崩れのリスクについて
まず、土砂崩れのリスクが全くない地域というのは、極めて稀です。山地や丘陵地帯はもちろんのこと、平地でも河川の近くや斜面の多い土地では土砂崩れが発生しやすいです。例えば、斜面の近くに住んでいる場合、豪雨が長時間続くと、地盤が水分を吸収して脆くなり、土砂崩れが起こる可能性が高まります。また、山間部だけでなく、都市部においても急な斜面が存在する地域では、土砂崩れが起こりうるため、注意が必要です。
さらに、近年の気候変動により、豪雨の頻度や強度が増加しており、これによって土砂災害のリスクはますます高まっています。日本の地形的特性と豪雨の増加が相まって、土砂崩れのリスクは避けられないものとなっています。
### 水害(浸水など)のリスクについて
一方で、水害、特に浸水のリスクについても同様に、日本においてこれを完全に避けることは難しいと言えます。日本の平地は、多くが河川の堆積作用によって形成された沖積平野です。この沖積平野は、もともと河川の流路が変わったり、氾濫を繰り返すことで形成された土地であり、非常に肥沃な土壌を持つ反面、水害のリスクが高い地域です。平野部の都市や農地は、こうした堆積平野に位置していることが多く、台風や集中豪雨による河川の増水や氾濫により、浸水被害が発生しやすいのです。
たとえ河川から距離がある平地や台地であっても、豪雨時には排水システムが追いつかず、道路や住宅地が浸水するケースが増えています。これは特に都市部で顕著で、アスファルトやコンクリートで覆われた地面が雨水を十分に吸収できないため、排水設備の容量を超えた場合、短時間で大量の雨が降ると容易に浸水が発生してしまいます。
### 地形的リスクの相関性
さらに重要な点として、土砂崩れのリスクのない地域は、一般的に言って平地であるため、そこでは水害のリスクが高くなります。逆に、水害のリスクの低い山地や丘陵地帯では、土砂崩れのリスクが高まります。つまり、日本の地形的特性を考慮すると、土砂崩れと水害のいずれのリスクもゼロにすることはほとんど不可能であり、常に何らかのリスクと向き合わなければならないのです。
たとえば、東京都のように都市化が進んだ地域では、平野部に多くの人口が集中しており、浸水リスクが高いことは周知の事実です。一方で、東京郊外の山間部や斜面地帯では土砂崩れのリスクが高く、避難計画の整備が求められています。また、各地の地質や地形に応じたハザードマップの作成や、それに基づく防災対策も進められているものの、完全にリスクを排除することは難しいのが現状です。
### 「低台地の高所」という誤解
「低台地の高所に住んでいるから水害の心配はない」という考えは、地形学的に見て誤解を含んでいます。確かに、そのような立地では、豪雨時に自宅が直接浸水するリスクは低いかもしれません。しかし、重要なのは、住居自体が浸水を免れても、周囲の低地や道路が浸水し、物理的に孤立する可能性が高いという点です。
例えば、低台地の高所に位置する住宅地では、周囲の低地や河川が氾濫した場合、住宅地へ通じる道路や橋が浸水し、交通が遮断される恐れがあります。この結果、物資の供給が途絶えたり、緊急時に避難することが困難になるなど、生活に必要なインフラが麻痺する可能性が高まります。特に、豪雨や台風の際には、食品や医薬品などの生活必需品の供給が遅れたり、停電や断水が発生することで、日常生活に重大な支障が出ることが考えられます。
### 具体的な地域例
ここで、いくつかの具体的な地域を例に挙げて、これらのリスクについて詳述します。
#### 1. **熊本県球磨川流域**
熊本県の球磨川流域は、山間部から平野部にかけて流れる大きな河川を持つ地域です。2020年の豪雨では、球磨川が氾濫し、広範囲にわたって甚大な浸水被害が発生しました。山間部にある集落では、浸水を免れた家も多かったものの、周辺道路が崩落し、集落が孤立する事態が起こりました。これにより、救援物資の搬入が遅れ、生活に必要な物資が不足するという問題が発生しました。たとえ自宅が浸水を逃れたとしても、孤立してしまうことで、生活が困難になることが明らかになった事例です。
#### 2. **新潟県中越地域**
新潟県の中越地域は、山間部と平野部が入り組んだ地域であり、豪雨や地震による土砂災害や浸水被害がしばしば発生します。特に2004年の新潟県中越地震の際には、山間部で大規模な土砂崩れが発生し、多くの集落が孤立しました。この地域では、山地と平地の境界に住んでいる人々が多く、浸水リスクが低い場所であっても、周囲のインフラが崩壊することで生活が困難になることが経験されました。
#### 3. **広島県土砂災害多発地域**
広島県は、特に土砂災害が多発する地域として知られています。2014年の広島市の土砂災害では、豪雨により山腹が崩壊し、平地に向かって土石流が発生しました。この際、山間部の住宅はもちろんのこと、平地にある住宅地も被害を受け、道路が寸断されるなどして多くの地域が孤立しました。低台地の高所に住んでいたとしても、周囲の地域で浸水や土砂崩れが発生すれば、物流や交通が遮断され、孤立するリスクが非常に高いことが示されました。
### 総括
これらの地域的事例からも明らかなように、「低台地の高所」という立地においても、完全に水害のリスクを回避することはできません。実際には、自宅自体が浸水しなくても、周囲の浸水や土砂崩れによって物理的に孤立し、日常生活が困難になる可能性が高いのです。特に、現代社会では、物資の供給や交通インフラへの依存度が高いため、これらが遮断された場合の影響は甚大です。
また、日本の地形的特性を考慮すると、土砂崩れと水害のいずれのリスクも完全に排除することは不可能です。豪雨や台風の際には、たとえ自宅が高台にあっても、周囲の状況によっては生活が困難になる可能性が高いため、常に防災意識を持ち、避難経路や物資の備蓄を考慮することが重要です。
このように、自然災害が頻発する日本においては、住む場所に関係なく、全ての人がリスクを正しく理解し、備えを怠らないことが求められます。「土砂崩れ」や「水害」のリスクをゼロにすることはできませんが、リスクを最小限に抑えるための努力を続けることが、私たちの生活を守る鍵となるのです。
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