14 :1 05/07/04 21:31 ID:331ee438de (・∀・)イイ!! (-4)
たとえばこんな作品だな


「今日のドライブ、楽しかったよねぇ。楓子」
「え、ええ…」
私は、今の問い掛けに力なく答える。
「あれ〜、どうしたのかな?元気ないよ。楓子」
「う…ううん、だいじょうぶだもん…」
そう言い返すのがやっとだった。私は今、高校時代から時折会っている八重花桜梨の乱暴な運転で酔ってしまい、
こみ上げる吐き気と必死に格闘していた。
「まさか、ねぇ、車に酔ったんじゃないでしょうね?エチケット袋って今日持ってきてなかったよね?」
助手席に座る陽ノ下光が、慌てるようなふりをしてに花桜梨にそう言う。
「ないわ」
「ご、ごめんなさい…」
「ごめんって言われたって。つぎのPAまで我慢しなさいよ?」
「…うん」
私は高校時代から彼女達にはいじめられていた。こうやって友達のふりをして私に常に付きまとわれて。
今日も、私を酔わせる為にドライブに誘ったのだから。
「PAまで何キロ?」「えっと、今●●だから…あと10キロってとこね。」
「ですって。いーい、それまで絶対吐くんじゃないよ。この車新車で高いんだから。汚したら弁償してもらうわよ」
「……」
しかしそれから数分後、ラジオから流れてきた交通情報に私は絶望のどん底へ叩き落された。
「…え〜…▲▲高速は事故の為●●から■■まで約50キロの渋滞…」
…そんな!!
もうすぐ楽になれると思ったのに…これじゃ何時PAに着くのかわからない…
「もう何よ!!…楓子、さっきも言ったけど、どんなに苦しくたってゲロ一滴も口から漏らすんじゃないよ!!」



それからどれだけ時間が経ったのだろう…私はこの地獄を必死の思いで耐えていた。
吐瀉物が喉すれすれにまで来ている様な苦しみが寸断なく続き、根性を振り絞って自分の唾液を飲み込む事で、
えづきそうになるのを必死に押し戻していた。
行き場を失った吐瀉物の代わりに、私の大きな瞳からは絶え間なく涙が流れ続ける…
…ゲ…ゲェッ…グェッ…
「何吐きそうになってんのよ!!私の車汚すんじゃないわよ!!」
罵声を浴びせられながら、何度飲み下しただろう…
吐いてしまえば今は楽になれるけど…あの二人は私に本当弁償させるつもりよ…
そう思っている矢先、やっとPAの看板が見えてきた。
でも、この車は追い越し車線のまま変更しようとしない。渋滞で車線変更できるスペースがない以前に、
花桜梨はウィンカーすら出そうとしてなかった。
「…ね、ねぇ…お願いだから…PAに向かって…」
「あーら、ごめんなさい。渋滞が酷くてPA入れなかったわ」
ゲボッ…ゴボッ…ゲーッ!!
諦めと絶望が私の気を緩ませ、ついに喉の奥から汚物が溢れ出してきた。
…気持ち悪い…不味い…吐き出したい…
舌が曲がりそうな嫌な味に目を顰め、本能的に口を開こうとする。だが…
「ふざけんじゃないわよ!!口ん中の汚い物全部飲み込みなさいよ!!一滴でも吐いたら弁償どころか、リンチであんたのツラ、
二度と見れなくしてやるわよ!!」
そう言い放たれ私は、歯を食いしばり唇を真一文字に塞ぎ頬をパンパンに膨らませながら吐瀉物を押しとどめる。
「……グゥェ〜〜ッ…グ、ゲゲッ……ウウウウ……ゴクッ。………ハァ…ハァ……グ、ゲッウェエエ〜」
舌と喉全体を耐え難い味と不快感が包み、それを飲み込んだ時の気持ち悪さは筆舌に表しがたい物だった…
そして、これほど苦しい思いをして飲み込んだゲロも、またあっという間に口の中に溢れてくる。
私は、いったい何時解放されるのだろう…


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